うつくしいひと サバ? 解説

2016年4月14日・16日、震度7の地震が熊本を2度も襲った。偶然にも、地震の前年に撮られた映画「うつくしいひと」は地震以前の熊本の情景を残す記録映画となった。震災後、全国200ヶ所以上でチャリティー上映が行われ、少しでも被災地の役にと願う人々から多くの募金が集まった。続編にあたる「うつくしいひと サバ?」では、傷ついた町並みや風景、それでも復興しようと頑張る“今の熊本”のありのままの姿を撮影。美しい姿ではなくとも今の姿を残す事に意味があるのではないかと行定監督は考えている。副題である「サバ?」とはフランス語で「元気?」や「大丈夫?」の意味があり、熊本へのエールがこめられている。

「うつくしいひと サバ?」あらすじ

玉屋末吉(高良健吾)は人々の心を手助けする私立探偵。末吉の友人である田上(米村亮太朗)は被災地で迷う一人の外国人・マチュー(ロイック・ガルニエ)と出会い、末吉の元に案内する。しかし言葉が分からない上ようやく聞き取れた言葉は一つだけ、『サバ?』。

寿司屋の大将(井手らっきょ)や橙書店店員・古町明日香(中別府葵)の助けのもと彼がフランス人であり熊本へ来た目的、亡き妻マリの遺骨を届けるため父・川上義晴(中原丈雄)を探していたことが明らかとなる。義晴を探す一行であったが、義晴の心は震災で傷つき閉ざされていた。そんな中、被災地で一人の少女(石橋静河)と出会う――。被害の大きい熊本城、阿蘇大橋、阿蘇神社そして益城町を舞台に鎮魂の思いが胸にせまる。

前作「うつくしいひと」について

熊本の魅力を伝える映画を作りたいと、蒲島県知事と行定監督との会談から企画が生まれた。物語は、学生時代を懐かしむ映画監督(姜尚中)と少女・透子(橋本愛)のお話。怪しい人物が透子の母(石田えり)の周りに現れたという情報が入り、透子は探偵の玉屋末吉に相談。しかし騒がれていた人物は熊本へ訪ねていた監督であり、透子の母とも面識があった。監督とともに彼の思い出の地を訪ね歩くことになった透子。そこには母との淡い思い出と熊本の美しい風景があった。ロケ地には水前寺公園、菊池遊水池や阿蘇山などが写され、熊本城は震災前の最新の映像として記録に残った。

「うつくしいひと」公式サイト